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「あの、出たよ。服ありがとう」
お風呂はすごく暖かくて、ずっと入っていたいような感じだった。
「ああ、服は友達のだから。俺の服じゃ葉月は着れそうになかったからな。それより寝るぞ」
稔さんは、僕の手をひいてベッドのある部屋まで案内してくれた。
「このベッドで二人だけど大丈夫だよな?」
ベッドの部屋についた途端、手を離されて、稔さんの温もりがなくなっていく。
なぜだかすごく心細くなった。
「うん。大丈夫。えっと、あの…寝る時に手を繋いでほしい…」
僕がそう聞くと、稔さんは驚いたように目を見開いた。
「ははっ、葉月は可愛いな。全然いいぞ。俺はもっと甘えてほしいくらいだからな。もっと甘えろよ?」
稔さんは、僕の頭を撫でながら声を出して笑った。
頭を撫でられるのは、とっても気持ちくて嬉しかった。
でも、稔さんがこんなに笑うなんて思ってなかった。
稔さんの見た目は、すごく怖い感じ。
だから、鋭い目を緩めて無表情の顔から笑顔が作られるのを見てびっくりした。
が、固まってるわけにもいかないので頷いておいた。
「ん。手繋ぐんだろ?はやく手繋いで寝ようぜ」
出された手に、自分の手をそっとあわせる。
すると、稔さんに強く握られた。
その手はすごく暖かくて気持ちが良かった。
「稔さんの手、暖かくて気持ちいい…」
「そうか、葉月の手も暖かいぞ。まあ、こんな時間だしもう寝るか。また明日話そうな。おやすみ、葉月。」
ぎゅっと握る手に力を入れられる。
暖かくてすごく気持ちがいい。
稔さんの優しい声を聞き、「おやすみ」と返して目を瞑った。
暖かいぬくもりを感じ、すぐに夢の中にはいぅていった。
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