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「うん?」 「さっき言ってたことだけど」 「うん」  さっきとはいつのことだろう。そう考えなかったわけではない。しかし答えはすぐに遼人の口から教えられた。 「朔の割と本気」 「あー、うん」 「あれな、考えたんだけど……」  遼人にしては珍しく奥歯に物が挟まったような物言いに、朔良は「うん」と頷いて先を促した。 「朔の考えてることはわかったし、尊重したいと思う。だけど、やっぱり今の状況じゃあ諸手を挙げて賛成ってわけにはいかない」 「……うん、わかる。それ、俺も考えてた」 「本当に?」 「うん。一時しのぎじゃダメなんだって、確かに最初の一歩って大事だけど、二歩目のこと考えてないとダメだって」 「だな」 「――だね」  遼人は再び珈琲に手を伸ばすと「この話終り」と独り言のように言い、カップの中身を飲み干した。 「よし。寝る」  そう宣言して遼人はマグカップを手に勢いよく立ち上がった。 「うん。おやすみ」  見上げてそう言えば、遼人は「おやすみ」と手を振って去っていく。  その頼もしい背中にもう一度礼を述べると、朔良もまたブランケットの準備に自室へと向かった。
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