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ソファーに寝転がり朔良はゆっくりと見える範囲の部屋の中を見回した。
静かだ。
時折外を走る車の音が届いて来るのと、冷蔵庫のモーター音、それくらいしか聞こえない。
箱の中の子猫はどうやらぐっすりと眠っているようだ。
だけど、お腹が空いて目が覚めたら、一番に自分を呼べばいい。そしたらすぐに駆け付ける。
そうやって己にとっての最善の道を選んでいけばいい。
この先何があるかは、わからない。そんなのは誰だって同じだ。
いいことばかりがあるはずはない。
いつだって、悲しくなるのは簡単だ。だからその道は選ばない。
その時、最善だと思う道を選んでいく。その繰り返しが――幸せにつながっているのだと知っている。
自分で選んで決めた道が、いつだって最善の道なのだ。選ばなかった方なんて、考えてみたって仕方ない。
そう信じている。
祈りにも近い思いで。
どの瞬間だって、幸せになるための選択をしていいのだ。
親をなくした子猫たちも、さっき幸せだと言った遼人も、自分も、誰だって。
朔良はもう一度部屋の中を見回した。
この小さな部屋の中には、幸せだと感じられるものが溢れている。
本当はここだけではない。
至る所に、いつだって可能性は溢れているのだ。
そう思えば、怖いものなど何もないと、朔良はそっと目を閉じた。
――明日もきっと忙しい一日になる。
完。
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