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私はたくさんの本が並んでいる空間が好きだ。日に焼けた本の香りは甘い。どんな甘味よりも心地よく、私は満たされていく。
以前私は短編ミステリーの中で、本が積み上がった様子を林と例えたが事実そうであると思う。
私の背丈よりも高く覆うように本棚は並び、隙間なく本はおさまっている。小さな窓からひっそりと差し込む陽の光は、木漏れ日を連想させる。
本の甘い香りは、懐かしいあの日の大木の香りを思い出させる。葉と葉の間から覗く青空、陽の光、セミの鳴き声……。
切り倒されたあの木との思い出を、私はこうして懐かしむのだ。
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