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以前、私が敬愛する作家はこう綴っていた。 『車でもなく自転車でもなく、その足でなるかなければならない』 大地とは踏みしめて感じるものであると思う。しかしながら、自転車で感じる振動も大地の鼓動のようにも感じる。 私は断然歩くことが好きである。真っ暗な路地を陸橋から見下ろし、点々と続く街灯にホッと息をつく。 紅葉に染まる山々を見上げ、暖色に染まらない針葉樹に違和感を覚える。しかしそのぼやけた色合いこそ美しい。
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