無花果

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

無花果

 瞼越しに感じる朝日の眩しさで目が覚める。 「…?」  体を起こし、寝ぼけ眼で周囲を見回すが、探し求める姿は見当たらない。  その代わり。 「無花果?」  枕元に置かれた果実は、いずれも一部が潰れた状態だった。 「あの大きな手で人間が食べる実を摘めばこうなるか」  無花果を掌に載せ、紫の瞳を細めた。 初出・2019年10月8日
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!