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「なんてこった」
克彦の件を気に病んで、恭は恭介に身体を譲り、眠り込んでしまったのだ。
可哀想に、と恭介は胸に手を当てた。
「傷ついたんだな、恭。いいよ、気の済むまで眠ってろ」
後は、俺が何とかするから。
恭介は何食わぬ顔をして家族と共に朝食を摂り、学校へ出かけた。
いつもなら、このバス停で克彦を待つ。
しかし恭介は、克彦を待たずにさっさと早いバスに乗った。
恭を傷つけた、憎らしい男。
そんな奴を待つ気など、さらさら無かった。
教室の友人には、なるべく『恭らしく』振舞った。
明るい笑顔に、陽気な挨拶。
恭のふり、をして過ごしていた。
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