バニシング・ツインに花束を

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「おはよう、恭。なんでバス停で待っててくれなかったんだ?」  来た。  克彦さまの登場だ。  恭介は、まずは知らんぷりを決め込んだ。  返事など、よこす気になれない。 「恭、ったら」 「なんだよ、うるさいなぁ」  そこでようやく、恭介は克彦を見た。  その態度に、克彦は怯んだ。  敵意剥き出しの眼差しに、ウザそうな声色。  後は、また顔を背ける、だるそうな仕草。 (昨日のこと、怒ってるんだな)  克彦は、眉をひそめた。  カッときたとはいえ、少し言い過ぎた。  冷静になって考えれば、恭が浮気なんて器用なことできるわけないのだ。  何か、理由があるに違いない。  そう思っての朝だったが、つれない態度の恭に驚かされた。
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