バニシング・ツインに花束を

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 その日克彦は、恭のことばかり考えて過ごした。  こんなに彼を思ったのは、初めてだ。  授業中は、いたって真面目。  友達とも、普通にしゃべる。  だが、克彦が傍へ寄ろうとすると……。 「来るな、どっか遠くへ行けよ」  途端に、険悪になる。  おまけに、昨日の克彦のセリフまで引用して、だ。  参ってしまった克彦は、授業中にこっそり手紙を書いた。  友達に頼んで、回してもらう。  幸い教師に見つかることなく、手紙は恭の元へと届いた。
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