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「実は俺は、恭じゃない」
昼休み、放送室でそう切り出した恭介に、克彦は戸惑った。
「恭じゃない、って。どういうことだ?」
「知りたいか」
「うん……」
じゃあ、条件がある、と恭介は克彦をにらんだ。
「今から3年生の所に行って、一人生徒を指名するから。そいつに宣言してやれ。『相原 恭は俺の恋人だ! 手出しするんじゃねぇ!』って」
「ええっ!?」
「ついでに尻を一発蹴り上げてやると、なお良いな」
どういうことだ、なぜ俺がそんなことを、と考える間にも、自分は恭じゃないと言う恭は、克彦の腕を引っ張って3年生の教室棟へ向かっている。
あれよあれよという間に、一人の男子生徒の前に克彦は立たされた。
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