バニシング・ツインに花束を

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 男子生徒は、恭を知っている風だった。  相原じゃないか、などと言い馴れ馴れしく体に触れようとしてくる。  恭介はそれを煩そうに振り払うと、克彦をつついた。 「こいつだよ、昨日抱きついてきた奴。ガツンと言ってやれ」  克彦は、そこでようやく事情が飲み込めた。  あれは、恭が誘ったのではなく、この男に無理やり抱きつかれた姿だったんだ。  克彦は静かに、だが精一杯の凄味でもって男子生徒に言った。 「すみませんが、こいつは俺の大事な彼氏なんです。手を出さないでください」  ぴくん、と自分の中の恭が、身じろぎしたような気配を恭介は感じた。 (恭、聞いたか? 大事な彼氏、だってよ?)  しかし、それきり恭が反応する様子はない。  仕方なく、恭介は克彦と共にもう一度放送室へ戻った。
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