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「恭。恭だよな!」
克彦は、恭を抱きしめた。
「克彦、ごめん」
「何で恭が謝るんだよ。悪かったのは、俺だ。ホントにごめん」
克彦の腕に、力がこもる。
苦しいほどの力に、苦しいほどの想いに、恭は涙を流した。
「もう、どこにも行かないでくれ。ずっと傍にいてくれ。俺たち、ちゃんとつき合おう。好きだ、恭」
「ありがと……、克彦……」
恭も、克彦の体に腕を回した。
波の音が聴こえる。
(良かったな、恭)
恭介の声が、波の音と同じくらい静かに響いた。
(ありがとう、恭介)
克彦の体を抱きしめながら、恭は恭介にそっと囁いた。
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