バニシング・ツインに花束を

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 クリスマスの日、恭と克彦はブティックを訪れていた。 「これなんか、どうだろ」 「うん~、いいんじゃないかな?」  二人は、ペアリングを買いに来ていた。  高校生なので婚約指輪のように高価なものを求めるわけにはいかないが、何か二人を繋ぐ証を手にしておきたかった。 「ほら、その返事。恭介は、何て言ってるの?」  克彦の困ったような声に、恭はくすくすと笑いながら答えた。 「もう少し、高いものを買ってもらえ、って」 「全くお義兄さんには、参ったな」  こうやって、仲良く買い物をしている二人だが、そのすぐ傍にはもう一人がいる。 (だから! 石の付いてるヤツなんか安っぽく見えるからダメだっての!) 「こっちの方がいい、って」 「はいはい」  恭と克彦は、顔を見合わせて微笑んだ。  ペアのリングを互いにはめて、うなずく。  恭の心の中には、口ずさむクリスマスソングを、結婚行進曲に変えた恭介がいた。  満足げな顔をした、双子の兄がいた。  温かな光。  優しい音楽。 「メリー・クリスマス、恭」 「メリー・クリスマス、克彦」  そして、と二人は同じことを想った。  メリー・クリスマス、恭介。
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