一七才の菊ちゃんへ

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ただ、一つ、この世に心残りがあるのです。 それは、信雄さんのことです。 私は、親同士が決めた結婚相手と結婚しました。 結婚に乗り気な信雄さんとは違って、私は正直、あまり気が乗っていませんでした。 信雄さんは私の好みの顔で無かったし、背は高かったけれど、細くて貧弱そうな人で、今で言うタイプじゃなかったから。 それなのに、あの人は『来世も一緒になろうね』と、何度もそう言ってきました。 私は、そう言われる度に笑って曖昧に誤魔化していました。
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