一七才の菊ちゃんへ

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でも、20年前のあの日、あの人は朝の散歩に行ったっきり帰って来ませんでした。 心臓発作でした。 あの時から、私はずっと後悔しています。 毎朝、仏壇にお供え物をしてお経を唱えてから昭和のラヴソングを歌います。 “さよならと 書いた手紙 テーブルの上に 置いたよ あなたの眠る顔見て 黙って外へ飛び出した いつも幸せすぎたのに 気づかない 二人だった 冷たい風に吹かれて 夜明けの町を 一人行く 悪いのは 僕のほうさ 君じゃない” 本当は全く違う意味が込められているはずなのに、私はこの曲にあの人と自分のことを重ねてしまうのです。
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