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返ってきた答案用紙を凝視する。
ギリギリでも居残りセーフならどうってことはない。
これはもう理斗様々だ。
喜びと感謝に打ち震えていたら、答案用紙の隙間に垣間見えた瀬名が頭を抱えているのが目に入る。
あの様子じゃ、明らかに居残りコースだろう。
(だから勉強しろって助言してやったのに…)
一瞬だけ、瀬名に同情しつつも気持ちはすぐに切り替わる。
いよいよ2週間後に迫ったサッカー部の試合に向けて、今日は待ちに待ったレギュラー発表日だ。
そわそわと落ち着かない貧乏ゆすり。
自然とニヤつく頬を必死に押さえて、カチカチと動く時計に目を向ける。
〜〜♪
16時30分きっかり。授業終わりのチャイムに耳を傾けながら必要な荷物を鞄へと詰め込んでいく。
何か言いたそうにこっちにやってくる瀬名はお構いなしに、手をあげる。
「じゃあな、瀬名。お疲れ!」
「あっ!ひでぇっ!逃げんのかよ…」
「居残り頑張って」
当たり障りない挨拶を交わして、部室へと急ぐ。
この日のために、毎日放課後も朝練も頑張ってきたんだ。
「ぜってぇレギュラー取る!!」
叫び、行き交う生徒たちの隙間を駆け抜けた。
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