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「次は○○駅~、終点です」
懐かしい駅の名前が脳内をぐるぐるまわる。ドアが開き、駅におりる。懐かしい田舎の匂いがつんと鼻をつく。
そういえば、地元に寄るのは成人式以来だ。あの手紙がなければ、家族に何かない限り寄らなかったであろう。
『ねえ、助けて。
7月1日ホタルがいる橋の下で待ってる』
そんな手紙が送られてきたのはつい一週間前のことだった。今どき手紙なんて誰だろうと不思議に思った。僕の祖母でさえ、スマホを使って連絡をしてくる。
差出人をチェックしても、名前は書かれていない。住所は書かれているが、見覚えがない。
普段の僕なら、いたずらだろうと無視したであろう。だけど、その手紙には一つだけ見覚えのあるものがあった。
『ホタルがいる橋の下で待ってる』
ホタルがいる橋の下...。高校生のころ、よく橋の下で遊んでたのを思い出した。つまり地元。差出人は、僕の住所を知っていて地元に住んでいた人物。
誰なのかはわからない。友だち?でも連絡先は全員持っているし、用があるならメールで送ればいい。わざわざ手紙でなんて...。
その人物は僕の興味を惹いた。
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