二種とぼくの正体

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 緩やかなカーブを曲がり進むと、ロータリーと高級ホテルのような豪勢な建物が姿を現した。  これが本物の白亜の豪邸だ。  ロータリーの真ん中には見上げるほど大きな噴水があり、その周りを沿うように車道が続いている。噴水の横をぐるりと通り過ぎると、建物の前に静かに停車した。 「――…こちらでございます。どうぞ」  後部座席のドアを開けてくれた三好さん。お礼を言って徐に車から降りると、そのまま視線を奪われるように目の前の建物を見上げた。 「すごい……」  息を呑み、呆然と立ち竦んでいると、階段の先にある玄関の扉が開いた。すると中から、屈強そうなスーツ姿の男性が現れて、その後ろにはメイドのような女性が立っていた。 「お荷物はこちらで運んでおきますので、お手荷物だけお持ちください」  三好さんはそう言うと、階段を上って行くようにとぼくを促した。  白い石造りの階段の周りには、芝生が敷かれている。欄干には、ところどころに花の彫刻が施されており、魅入ってしまいそうになりながらも、上へと足を進めていった。 「――…お待ちしておりました。志津野(しづの)へ、ようこそ。どうぞ、中へお入りください」  階段を上りきると、屈強そうな男性とメイドが出迎えてくれた。 「お、邪魔します……」  おそるおそる、玄関の中へと一歩踏み出した瞬間、瑞々しい花の香りが広がった。広い空間に花の香りが充満しているのだ。  豪勢な空間に圧倒されつつ視線を彷徨わせると、玄関の先にある奥まった空間に、大量の花を見つけた。
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