奪われた蕾

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 翌朝、いつものように六時頃に目が覚めたぼくは、起きたばかりだと言うのに疲れを感じていた。大したことをしたわけでもないが、昨日の疲れが残っているようだ。  メイドさん……宮間さんが昨日より量を抑えた朝食を用意してくれたが、ぼくは口を付けられなかった。代わりにハーブティーを少しだけ戴き、目覚ましをした。  その後、身支度を整えて三好さんに会社まで送ってもらい出勤した。  午前中の仕事が一段落し、向井さんと食堂へ向かった。ぼくはあまりお腹が空いていないけれど、何か食べないと体がもたない。 「夏井くん、またうどんにしたの?」 「あ、はい……あんまり、食べたい物がなくて」  とりあえず、胃に優しそうなうどんを選んだ。今日は、えびの天ぷらは抜きだ。 「なにそれ、あたしの食欲分けてあげたい!」 「はは……」  向井さんは、本当によく食べる。体型はポッチャリしているが、健康的で女性らしい。不健康丸出しのぼくとは正反対だ。  昼食を終え午後の仕事に戻ると、今日もまた胃の不快感に襲われた。体調が悪いと、気まで滅入ってしまう。 「おーい、夏井くん? 生きてる?」 「……あ、向井さん。生きてます」 「なに、どっか具合でも悪いの?」  流石、女性はよく気が付く。 「ちょっと、胃の調子が悪いだけです」 「あら、やだ。大丈夫? 無理しないでね」  心配してくれる向井さんに、大したことないから大丈夫だと伝えぼくは仕事に集中した。
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