なぜ皇族にネパール人はいないのか

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日本は多民族国家である。稀に勘違いをしている人もいるが、大和民族だけが日本国民ではない。アイヌ民族、琉球民族、帰化した韓国人。さまざまなルーツを持つ人々が暮らす、多様性溢れる国であるのだ。 しかし日本政府は、明らかに全員が大和民族である一族を皇族と呼び、「日本の象徴」という共通認識を強制している。勝手に賞賛するのは自由だが、憲法にまでその文言を記載しているのだから悪質だ。日本に生まれ、日本で育っても、文化や人種が違えば「例外」扱いだ。これほど迷惑な話はない。このいびつな構造を正すために、ひとりの青年政治家が立ち上がった。 彼は、皇族に取って代わる存在として「日本王者」を擁立した。「日本王者」には、日本で生活するなかで耐え難きを耐え、忍び難きを忍んだ、日本人が理想とすべき人間が選ばれた。王者だけでなく、「日本女帝」や「日本ファイナリスト」なども同様に選出された。そして、青年政治家は彼らをまとめて「日本王族」と呼び、日本国民全員が尊敬し、崇拝することを強制するため憲法改正に取り掛かった。 もちろん、その計画は一筋縄ではいかなかった。まず、専門家らから「なぜ『日本王者』なる人物が在日ネパール人なのか」という批判を浴びた。青年政治家は冷静に対応した。 「彼はネパール人ではありません。確かに彼の両親はネパール人であり、彼自身もネワール民族のような身なりをしている。しかし、彼は日本で暮らし、日本語を話し、日本国籍を持っています。どうして彼がネパール人と言えましょうか」 専門家らは反論ができなかった。
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