番外編#3

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「よし、じゃあとりあえず乾杯すっか!」  「おつかれー!」 「ようこそー!」 「かんぱーい!」 既にみんなビールや酎ハイ、ウーロン茶などなど、それぞれ飲みながら準備をしてたけど、大方セッティングも済んだ所で、みんなで改めて缶を合わせて乾杯。  「真由香の旦那さんも来れたら良かったのにねー。」 「んー、仕方ないよ。このご時世、まだ接待ゴルフなんてもんが存在するのかって思うけどさー、仕事だからね。」 「美紅(みく)ちゃん、会うたびに背が伸びて大人っぽくなってくねー、10歳だっけ?」 「あ、はい。」 真由香の隣で、控えめにはにかむのは、真由香の長女、美紅ちゃん。すっかりお姉さんになって、ちびっ子達の面倒をよく見てくれる、頼もしい存在に。 長男の大和(やまと)くん(8歳)は、元気いっぱい、来て早々、庭を走り回ってる。 「ほら大和、小さい子もいるんだから気をつけてよー。ホント、男の子はやっぱ幼いわ…」 そう零す真由香だけど、子供達にもだいぶ手が掛からなくなってきて、やっと自分の時間が持てるようになってきた、と、最近は余裕が出てきた様子。 子供を育てながらフルタイムで仕事もして家事もして…ホント尊敬する。 「しゃえー。」 「ん?あ、奏太、起きたー?」 寝ていた奏太が目を擦りながらウッドデッキにトコトコと出てきた。 「だっこおー」 と、両手を伸ばす奏太に 「お、奏太、起きたかー!ほら、さえは、お腹赤ちゃんいるからな、俺が抱っこしてやるぞー」 と、半ちゃん、祐二と一緒に肉を焼いてた圭太がこちらへ駆け寄ってくる。 「や、けいたじゃやー、しゃえがいい!」 「そんな事言って、赤ちゃんが出て来ちゃったら困るだろー」 「や!しゃえー!」 「……さえがお腹いたい、いたいなってもいいのかー?」 「…………いくない。」 「だろ?ほら、おいで。」 渋々圭太にだっこされる奏太に千奈が 「奏太くんはホント、さえ大好きねー」 とほっぺをぷにぷにすると、 「うん!そう、おっきくなったらしゃえとけっこんしゅるの!」 と、にっこり。 すると、すかさず圭太が 「残念だったな、奏太。さえは俺の奥さんだから、お前とは結婚できないんだぞ。」 「うー、なんで!そうがけっこんしゅるの!」 「だーめ!あきらめろ」 「しゃーえー!」 うるうると目を潤ませた奏太が、こちらに身を乗り出した。 「もう…また始まった…奏太、分かったよーありがとね。圭太…いちいち本気でやり合わないの。」 「ちゃんと現実を教えておかないとな、世の中そんなに甘くないんだぞ、奏太。」 「お前、子供か!」 「あはは!同じ顔した2人がさえ取り合って〜!」 「みんな、面白がってるけど…毎日この調子だから奏太はすっかり圭太をライバル視してんのよー、もう。」
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