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「さえ、30歳おめでと〜!!」 生クリームが苦手な私の為に友人たちが用意してくれたガトーショコラの上には大きな3と0のキャンドルと 『Happy Birthday さえ 祝30歳』 と書かれたプレート 「ほら、さえ、消して消して!」 30のキャンドルの火を吹き消そうと息を吸い込んだ瞬間、隣から「フーーっっ」と音が聞こえてゆらゆら揺れてた炎が一瞬で消えた。 「……もうっっ!!ちょっとぉー!!けーいーたー!!」 腕で顔を隠し、既に防御態勢に入っている圭太に向かってゲンコツを振り上げる。 「ぶっっ…はははっっ!!」 「もう、さえ何年この圭太のお決まりにやられてんのよー!!」 「だってぇー!!30だよ!?花の20代が終わって人生節目の特別な誕生日だよ!?今年こそは私に消させてくれると思ったのにぃー!!」 防御体勢の圭太の腕をかいくぐって脇腹から背中にかけてポカポカ叩く。 「イタイ、イタイ…ごめん、ごめんって……ククッ」 「笑ってるしー!全然悪いと思ってないでしょー!!もうっっ!!」 「まぁまぁ、そう怒るなよ。お詫びにおめでとうのキッスしてやるから」 圭太を叩いてた両手首をがしっと掴まれ、んーっと唇を尖らせて顔を近づけてくるのを、 「いらんわー!!」 と、顔を背けて全力で拒否する。 のも、これまたお決まりのパターン。 こんなバカやって笑ってばかりいるのが、何だかんだ言っても楽しくて…居心地良かったりする。
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