想い出橋

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ねえ、橋占いって知ってるかしら? あたしの住む街には、隣街までを繋ぐ小さな橋があってね。 【想い出橋】って名前が付いているの。 橋にはみんな、名前があるのかしらね。 あたしは他を知らないけど、この橋の丸い支柱には金属板にそう名前が書いてある。 橋占いはね、こんな街と街を繋ぐ橋の片方に立って、知りたい事や未来の事、そういう悩みを想い浮かべて橋を渡るの。 守らなければいけないのは、2つ。 まず、これをする時には一人で渡らないといけないということ。 そして、啓示が訪れるまでは決して声を出してはいけない。 だから今日は、裕介に車の中で待っていて貰ったんだ。占いをするとは言わなかったけど。 きっとアイツは優しいから、あたしが一人になりたがっているのに気づいて、何も聞かずにそっとしといてくれたんだね。 アイツ、本当にいいヤツだよね。 梨子がアイツを好きになったの、何だか少し分かる気がする。 アイツだけは、あたしと梨子の話を信じてくれたんだもの。
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