想い出橋

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橋占いはね、黙って街と街を繋ぐ橋を渡るの。 答えが出ない悩み事を、そっと想い描いて、そうやって橋を渡って。 一番、初めに聞こえた言葉が、その悩みの答えなの。古くから伝わる占い。 あたしは目を閉じて息を整えると、一歩一歩、想い出橋を渡る。 もうすぐ、先生から貰ったお薬が効いて、きっとあたしはあたしではなくなっていく。 さよなら。 さよなら、大好きな梨子。 涙が頬を伝い落ちる。 あたしが消えてしまっても、どうかあなただけは幸せでいて。 あなたとの未来は望めないけど。 あたしはいつまでも、あなたを想い続ける。 どうか。 想い出橋の名前を見る度に、どうかあたしが側に居た事を忘れないで。 ── 橋の中程まで来て、あたしはそっと目を開ける。 涙で潤んだ視界に、裕介の姿が見える。 あたしは笑って、何も言わず手を振る。 ごめんね。 あたしが消えたら。 これからは、裕介が梨子を守ってあげてね。
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