まだ彼を知らない。

9/9
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「麻衣……ライン無視してゴメンな」 「そうだよー賢ちゃん、でももう大…」  あ…  大丈夫って言い終わらない内にハグされた。賢ちゃんのハグ。世界で一番私を幸せにしてくれるもの。  賢ちゃんのあったかいハグ。  賢ちゃんが戻って来てくれた。  やっぱり私はこうやって、賢ちゃんと一緒に居るだけで幸せなんだ。欲しいものはけして車なんかじゃなかった。──ねぇ賢ちゃん、私がまだ知らない所、これからもいっぱい……いっぱいいっぱい見せて。  私は賢ちゃんの広くてあったかい背中に手を回して心の中で『好き』って……久しぶりのハグにギュっと返事を返した。  
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!