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【※LGBTについて取り上げています。LGBTで大変な苦労をされた方々が実在するのに、ジャンルをコメディにして良いのか迷いましたが、私の筆力では、下書きで何を書いてもコメディになってしまうので、コメディとしました。
「その日私は出会った」募集概要の例。(以下、引用)
・友達の付き合いで行ったアイドルのコンサート。まさかこんなにハマるなんて!
・好きな漫画のキャラが表紙にいる本を買ったはずなのに、何かおかしい……BLって何!?(引用ここまで)。
お題として使用いたします。この場をお借りして、エブリスタ様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。※】
【※実在する人物、団体などとは一切関係ありません。また、類似、同一の名称の人物、団体名が存在したとしても、本作とは無関係です。物語を構成する上で、宗教家が登場しますが、特定の宗教的な考えを否定するつもりもありません。つまり、筆者の意見を、読者様に押し付けるつもりは、全くありません※】
西暦202×年。高校からの帰り道、同級生の笑愛から、わたしは、BL《ビーエル》会の集まりに誘われた。
笑愛が、はにかんだ笑顔がかわいい。同性のわたしでも、ドキッとするときがある。夕暮れの橙色の空が照らす歩道で、ローファーシューズの歩みを止めた。
「BL会はわたしまだ入会してないの。ゴメンね」
「うん、わたしの方こそ、ゴメン。BL会の会員でなくても参加オーケーだかから、言ってみたんだ。でも、桜のおばあさんがお亡くなりになったとき、BL会式でしてたから、もしかしてって思って」
笑愛は性格が明るく、同性異性問わず、学校で人気がある女子生徒だ。チケットが入っているのだろう。ポケットから財布を取り出していた。
笑愛とは、小学校も中学校も同じだ。わたしが小学校5年生のとき、祖母が他界した。お通夜には、笑愛も参列してくれた。
祖母の遺言で、葬儀は、いわゆるBL会式で執り行なった。
「うちの家族で、祖母だけがBL会の熱烈な支持者だったの。前にも話したとおり……母が、いまだにBL会に理解ないの」
「そっかー」
笑愛は、笑っているが瞳には残念そうな色が宿る。財布に出しかけたBL会のチケットを指先で仕舞っている。
わたしの視点がチケットに固定された。
チケットには、バンド『虹色』の七人が並んで写っている。
「もしかして、もしかして、バンド『虹色』がトークショーとかあるの?」
「BL会の集会で、バンド『虹色』のチャリティコンサートもあるから……」
「行く! 必ず行く! 誘ってくれてありがとう」
バンド『虹色』は、わたしも大ファンのバンドだ。七人の男女で構成される。わたしの推しメンは、男性ボーカルの貴臣クンだ。
チケットを1枚受け取り、母バレしないよう、小さく折りたたんで、自分の財布に入れる。
***
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