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「なんだぁ? テメェは」
譲は声のした方を振り向いた。
彼女の名前はマイカ。
生まれながらにして端正な顔立ちをしており、そのせいで他国の姫に嫉妬され、結果王位を剥奪される事となるが、それを奪い返すために日々修行をしながら旅をしている。
筆によるパステルマジック……
所謂描いた絵を具現化して攻撃する力を持っており、かつ正義感が強い。
そんな理由があって、今回譲の奇行を放っておく訳にはいかなかったのだ。
「私はマイカ、今すぐそのナイフを捨てなさい。さもないと……!?」
マイカは強くそう放つが、譲は聞く耳を持たず、一瞬で彼女の背後に回ると首元にナイフを突き付けた。
「自分の命が惜しけりゃ……俺に従うんだなぁ?」
「だ、誰がそんな事……ヒィッ!」
それでもマイカは何か言い返そうとするが、突き付けられたナイフの先が首にチョンと刺さり、今にも切られてしまいそうな感覚に恐怖心を煽られてしまう。
周りの人間も、自分まで巻き込まれたくないがために黙って通り過ぎるだけで、彼女を助けようとする者は誰もいない。
結果、マイカは譲の家へと連行される事となった。
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