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「ほんまどすか!?」
がばっと身を起こし、山南に抱きついた。
「ほんまのほんまどすか!?嘘ではおまへんの!?」
「う、嘘じゃないから、明里。落ち着きなさい。苦しい・・」
すんまへん、と明里は一旦離れる。
しかし、すぐにまた顔を近づけた。
明里は、口を小さく開けて、目は大きく見開いている。
いつものしとやかな明里は、どこかに行ってしまったようだと、山南はそう思った。
(そんな顔の明里も可愛いなぁ)
と心の中でこっそり惚気ている。
「ほんまのほんまの、ほんまどすか・・・?」
「ああ、本当だよ」
山南がそう言うと、明里の体から力が抜けていった。
くたり、と腰を落とした明里を、慌てて支える。
「大丈夫かい?」
そっと顔を覗き込んだ。
すると、目に涙を浮かべている。
山南はぎょっとして、明里から離れた。
「すまない!そんなに嫌がられるとは思わなかったんだ。いや、あなたが嫌ならば、私は無理に身請けするつもりはないんだよ」
それでも明里は、まだ顔を伏せている。
「いやはや、これは困った・・・」
あなたには笑っていて欲しいんだが、という呟きは、気恥ずかしくて口には出せなかった。
どうしたものやら、と困り果てている山南の袖を、明里がぎゅっと掴んだ。
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