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※性表現があります。
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最初は冷たいと感じた体温も、今になればシリルの方が少し高い。気持ちよさを感じて、滑らかな上質の陶器に似た肌へ唇を押し当てた。軽く吸い上げれば桜色の花びらが舞う肌へ、飽きる事なくキスを続ける。
白い肌を彩る赤い所有印に、満足げに笑みを浮かべた。
「シリル、オレ……お前のこと好きだぜ」
突然の告白に、潤んだ瞳で見上げるシリルは静かに瞬いた。本来必要ない瞬きに、涙が頬を滑り落ちる。唇で涙を清めてやりながら、ライアンは頬や額に軽い接吻けを繰り返した。
「……ぁ、……側に……ぃて……」
やっと本心を明かした吸血鬼に、ご褒美とばかり深く舌を絡める接吻けを贈る。昨日初めて会ったばかりで愛おしく感じるのは、不器用で寂しがり屋の心を持ったシリルが、あまりに純粋だからだ。
あのままライアンを覚醒させず放置しても、シリルに不利益はなかった。だが、助けてくれた――それを恩に着せて血を摂ることも出来たのに、思いつくことさえしない。
純粋な魂の持ち主は、誰よりもキレイな器に宿っていた。
「ずっと、一緒にいる」
解けたライアンの髪を掴んだまま離せないシリルの指に音を立ててキスし、体をずらして快楽に震えるシリル自身を口に迎え入れる。小刻みに震えるシリルの身体が、びくんと大きく揺れた。
「……ゃ、あッ……は、ぁ……ん……」
甘い声を上げ続けるシリルの髪が、ぱさりと乾いた音を立てる。嫌々をするように首を横に振って、快楽を否定する姿はライアンの中の雄を刺激するだけだった。
もっと気持ちよくしてやりたい。
丁寧に舌を絡め、初めての感覚に過敏に反応するシリル自身を追い上げる。
「ん……ぁあっ……」
鼻にかかった声が感じている快感の度合いを知らせてくれる。さらに指と唇でシリルが引き返せないところまで追い詰め、ライアンは吸い上げた。
「……ぁぁあッ!」
初めての行為に翻弄され、シリルは堪えることが出来ずに達した。ごくりと音を立てて飲み下した欲望に、泣き出しそうな目をしたシリルが首を横に振る。
快感を、もしかしたらライアンの行為か……何かを否定するような可愛い仕草に、ちゅっと音を立てて頬に接吻けた。
「シリル、初めてなら……優しくするから、オレのものになって?」
意味を掴みかねて、シリルは乱れた呼吸を整えながら瞬いた。再び流れた涙を掬い取る唇が優しくて、離れたくないと思う。
もう1人でいるのは嫌だった。
孤独に生きるくらいなら、ハンターに殺されてしまえと――決意して、ライアンの前に姿を現した程に。孤独はもう欲しくなくて、ただ一緒にいてくれる存在だけを求めていた。
ライアンのだけのものになったら、ずっと側にいてくれるのだろうか。
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