新米兵士は死にたくない

2/14
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
 そう、自分はヒーローになれると思ったんだ。故郷を、国を、星々を守るヒーローに。  毎日耳にするエースパイロットの活躍、そして学校で実施されている簡易検査でエース機との適合値が高いと示され、自分の活躍を疑うことなく即入隊した。  だけど、俺にエースの適正は無かった。  今の時代、戦場を駆けるのは航空機型の戦闘機ではなく人型戦闘機が基本だ。  人の形を模すことでより感覚的に繊細な操作ができ、一機でかつての中規模戦艦を殲滅することも可能だった。  その中でも特別な機体、エースと呼ばれる機体がここ数年で戦場を塗り替えた。  それまでの戦闘機と違い、パイロットの感覚を機体と直接繋ぐことによって人を超える反応速度や運動性能を発揮することが可能になった。  さらに適正の高い者は、人ならざる形の機体でもまるで自分の身体であるかのように扱えるという。  そう、適正のある人間なら。  エースのパイロットとなるためには、神経を機械と繋いでも拒絶反応を起こさずに適合する者でなければならない。自分もその適合値が高いと判断されていたから入隊した。そのはずだった…… 「学校で行われたのはあくまでも簡易検査ですから」  入隊後まもなく行われた検査でそう言われ、よくわからない数値と共に不適合と書かれた検査結果を渡された。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!