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その日は残業だった。
今重要なプロジェクトの秘書をしている。
ブラック企業じゃないから、無理な残業は要求されないが、プロジェクトを成功させるためには私は残業だってやる。
家庭のあるプロジェクトメンバーは先に帰っているので、結局家に帰っても誰も待っていない私が最後まで残っている。
夜の11時。
会社から外に出て、渋谷の街に出る。
まだまだ人々で賑わっている。
スタバに入って、コーヒー・フラペチーノを飲みながら、ちょっと一息つく。
しばらくして、終電に間に合うように渋谷駅に向かったが、その時、ふと何気なく空を見上げた。
高層ビル群の向こうに、何かが見えた。
漆黒の真夜中の夜空に、幽かに何かが飛んでいるのが見えた。
それは徐々にこちらに近づいてきた。
そしてその飛翔体は、いよいよ私のそばまで近寄ってきたのだ。
何?
何が迫ってくるの?
それは大量の傘の群れだった。
夥しい数の傘の群れが、何故か、いきなり私に接触してきたので、かなり驚いた。
そして、いつのまにか傘の大群は、私の腕や足に絡みついてきたのだ。
激しく抵抗したがビクともしない。
一体、何?
何が起きているの?
だが怯える私を、傘の大群は拘束したまま、いきなり暗黒の夜空に飛翔した。
いつの間にか私は、真夜中の夜空を飛んでいた。
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