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その日私は出会った。
渋谷のスクランブル交差点
流れる人並みの中
あの人がいた。
日焼けした顔の甘いマスク、
長身の身体に白いコートを着ていた。
たぶんあの人も気づいたはず。
でもあの人は何も言わずに、すれ違ったまま、黙って去っていった。
もう2ヶ月も会っていなかった。
いつの日にか、あの人は帰ってこなくなった。
それからずっと
会っていなかった。
このまま、もう二度と会えなくなる気がする…
でも、
もうどうにもならないと思った。
あの人が私の横にいつもいることなんて、当たり前のことだと思っていたのに
今はもうどうにもならない。
湘南の海でサーフィンしていた時に知り合ってから、
変わらない
何気ない日常が心地良かった。
でもそれもいつかは終わってしまう。
スクランブル交差点を渡りきって、後ろを振り返った時、
もうあの人はどこにもいなかった。
車が何台も交差しはじめ、
まるでそれが、全ての終わりを告げる閉じられた門のように見えた。
さようならも言えなかった。
全てはもう終わり。
世の中はバブルに浮かれ、
私もあの人もそれなりに浮かれてきた。
でもそんなこととは関係なく、
もう全ては終わってしまった。
そしてその頃、バブルも終わった。
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