「終わりにしよう。」

2/5
前へ
/15ページ
次へ
大樹が自分への気持ちを どんどん失くしていることに。 そしてそれが、 他でもない自分のせいだということに。 帰ってくる頻度も、向こうから電話をしてくる回数も格段に減った。 いまでは、大樹から電話がくることはない。 これ以上…大樹に嫌われたくない。 大樹の中で私という存在が、 少しでも綺麗な思い出で残せる可能性が残っているうちに。 「私から、きちんと告げてお別れしようと思って。」 洗いざらい事情を聞いた友人は 「そっか…」と呟き、 よく頑張ったね  と言葉を加え、頭を優しく撫でた。 撫でられた途端、 我慢していた涙がポロポロと溢れた。 「いつ言うの?」 「…っこっ…今夜…」 涙で途切れ、声になるかならないかくらいの声量しか出せなかった。 「…そっか。変に我慢して電話口で泣かないように、今ちゃんと泣いておきな!」 そう言われて、涙はさらに溢れた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加