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そして今年のクリスマス。私はやっぱりシャーリー・テンプルを飲んでいた。
彼と去年泊まったこのホテルの、このバーで。去年とまったく同じだ。でも今の私の隣に恋人である彼はいない。
バーを後にして部屋に戻る。去年と同じ部屋ではないけれど、前回と似た内装と窓からの夜景に一年前のことが昨日のようにありありと浮かんでくる。
「一年なんて、あっという間だな」
星空を凝縮したかのごとく輝く景色に向かって呟いた。クリスマスを本来の意味で過ごしているの人は極少数だろうな。
でも、みんなそれぞれに楽しんでいる。
ぎゅっと握り拳を作って意を決する。そして、ゆっくりと振り向いた。
「大樹」
名前を呼ぶと、シャツのボタンを緩めている彼が不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。
「どうした、そんな怖い顔して」
「話があるの」
からかいを通り越して、本当にそこまで私の顔が怖かったのか、それとも声色でただ事ではないと悟ったのか。
いや、彼は元々いちいち文句を言う人じゃない。
私たちは備え付けの丸テーブルを挟んで部屋の雰囲気にもマッチした北欧テイストの一人掛け用の椅子にそれぞれ腰掛けた。
「どうした? 体調でも悪いのか?」
「え?」
先に尋ねられた質問に私は軽く動揺する。
「今日、ずっとどこか元気がなかったから。思い詰めたような顔をしてたし、食事もあまり進んでなかっただろ?」
普通にしていたつもりで、私の違和感は大樹にはバレバレだったらしい。やはり彼には隠し事が難しい。
そんなことを考えていると、大樹が急に申し訳なさそうな顔になった。
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