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d03d8e80-a1c0-4df5-abcd-de2f7b42bf7c ◇ 唯一、感想を受け付けてみた他サイト「カクヨム」でいただいたレビューです(※いただいた感想はどれも恐縮するほどご丁寧な内容で感謝が絶えませんが、バランスをとるため一部割愛しております) ◇ 🔸『鮮やかな神視点で描き出す冒険小説。期待を上まわる続編』   手に汗握る緊迫感。巧みな心理描写と息もつかせぬ展開。かと思いきや、ふっと微笑まずにはいられないシーンがあったり、美しい情景描写に癒されたり。 鮮やかな神視点で描かれる様々な人間模様は、美しく織り上げられた叙事詩のようです。 また日本の武士道とは違った騎士道精神なるものも垣間見えて、地に足のついた騎士としての描写が、それぞれの人間らしさに繋がっています。 西欧の良質な児童文学を彷彿とさせ、かつ今風の軽やかさも意識して取り入れた軽快な筆致は、まさに"ライトな青少年文学"なのであろうと思います。 読後感さわやかな、平和への祈りが込められた、優しい物語です。 🔸『前作との、絶妙な連携!王道ファンタジー、新たな世界へ 』   「続編」の面白さ、というのをじわりじわりと感じた作品です。 今作は中学生以上を対象としているというのもあり、視野がぐぐっと広がったのが特徴です。つまり、アベルたちの旅では見えなかった、兄王の苦悩、敵国との関係などが描かれる群像劇となっております。 私がいいな、と思ったのは、前作でチームとなっていたアベルとその仲間たちが、絶妙なタイミングで集結するのです。それが遅すぎず、早すぎず、新しく広がった世界と、前作の凝縮された世界とをうまくつないでいるのです。 前作で印象的だった場面や固有名詞を、さりげなく背景として散りばめながら、新しい人々との出会いを鮮やかに描いています。 是非是非、『イルマの東へ』→本作、の連携の面白さを体験して欲しいと思います。 🔸『前作とは趣の異なった魅力。でも、変わらず優しい物語 』   前作「イルマの東へ」より、対象年齢が上がったということで、ストーリーの構成も前作とは異なっています。 「イルマの東へ」は、主人公、アベルの視点が主でしたが、今作はさまざまな人物の視点から物語が紡がれ、その分、世界の奥行きが感じられるようになっています。 そして、主人公側を追い詰めるのが上手な作者様……。 ついつい、どうなるの? どうなってしまうの!? と読むのをやめられなくなってしまいます。 外交や戦争、謀略だけでなく、恋愛模様もあり、一作で何粒もおいしい作品です。 🔸『王道ファンタジー、待望の青少年文学の続編』   前作の世界観をより大きく広げる卓越した描写が魅力で、特に主人公たちを飲み込む美しく恐ろしい不思議の森は読者を深い闇の奥へと連れていきます。そこでアベルが見たものとは……。 世界観も魅力なのですが、この作品が描き出すのはそこに生きる人々、懸命にもがき生きようとする姿に引き込まれる読者も多いはずです。 本作では前作以上に色々なキャラクターが活躍します。私のおすすめはラルティスです。彼はナイトです! うん、本当にカッコイイ! 御贔屓のキャラクターも出来たとこで。うん、読み返しましょうか前作を。 🔸『続編の面白い部分が詰まってる 』   今からこの作品を読もうと思われた方は、是非1作目の「イルマの東へ」から読んでください。 1作目そのものが大きな伏線となっているので、「続編」の面白さを充分に味わうことが出来ると思います。 登場人物が増えて、1作目の主人公たちの出番は少なくなっていますが、1作目で目立たなかったあの人やあの人やあの人も活躍します。 今回は、兄王の活躍で物語が終わりますが、子どもたちに「善とは正義とは何か?」を考えさせてくれますね。 個人的には、アベルとラキアの進展しない恋?(笑)が、この先どうなっていくのか、優しい続編を期待してしまう所です。 ※ 素敵なレビューをくださった皆様、本当にありがとうございました(良い思い出になりました) ― 月河未羽
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