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「現実を見たくなくて君と駆け落ちごっこしたくなったんだろう。仕事も辞めたんだろう? こんな茶番に付き合わせて悪かった。あとな……通常許婚とは幼少期に親に決められることをいう。二十歳の娘に使う言葉ではない」
玄関を出る時にお父さんにそう吐き捨てられた時、全てが終わったと思った。
電車はとっくに動いていた。俺は空いている席に座った。
終わったんだ。
心の中でそう呟いた。何も映さない瞳で月乃と見るはずだった景色を眺めた。
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