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「月乃! どうした」
彼女の元へ駆け寄る。
「平気。大丈夫」
苦しそうに月乃は言った。
「とにかく、駅まで行こう」
俺は月乃を背負うと早足で駅へ向かった。
「ごめんね、大河……くん」
「大丈夫だ。駅に行けば椅子だってあるし、温かい飲み物だってある」
「ごめ……んね」
この時俺はこの言葉の意味を知る由もなかった。
駅に着くと俺たちは改札を抜けホームに出た。椅子に月乃を座らせる。
「大丈夫か?」
「ごめんね」
「だから謝るなって」
肩に手を置いた時だった。
「居たぞ、二人だ」
「月乃!」
声のする方へ振り向くと駅員と一緒に彼女の両親が居た。
とっさに電光掲示板をみる。まだ電車が来るまで二分ある。
ここまでか。
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