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雨の音が心地よい。
さらさらと降る雨音を聞きながら夢に入る。夢の中の私は若く、隣の妻も婆さんでは無い。美しいと見惚れたあの頃の彼女。
彼女はいつも、一歩後ろをついて着た。
私を立てる出来た妻だった。いや、優しい妻だ。
夢の中の我々は手を繋いでいる。少し恥ずかしそうに俯く彼女を引っ張るように歩いている夢。
ああ、いつから手を繋いでいないのだろうか。
心地よい温かさの中、今夜も彼女は息を潜め、部屋を出て行った。トイレかと聞くのも失礼だろうと、私は何も言わずに夢に戻る。
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