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始まる日常
カーテンの隙間から差し込む細い光。まるで俺を起こそうとするかのように目に降り注いでくる。
「んっ、はぁ~」
俺はその光を浴びながら少しのだるさを我慢して体を起こした。なんか変な夢をみた気がする。でも、よく覚えてないな。
まだ4月なだけあって少し肌寒い。
まだ寝ていたいと言う欲望を何とか抑え朝食を食べにむかう。ちなみに俺の両親は海外に出張中でご飯の準備はほとんど妹のちかがやってくれている。
リビングに向かうとやはり朝食の用意がされていた。しかしこれを用意したと思われる本人が見当たらない。いや、テーブルの上によく見ると紙がおいてあった。
部活に行くから先にいってるー
「あぁ、今日も朝練か」
我が妹はソフトボール部である。勉強も運動も普通なお兄ちゃんと違って選抜チームにも選ばれるくらい上手い奴である。まぁそのうち紹介するよ。
俺は朝食を食べ終え(苦手なトマトがあった。後でよく言っとかなければ)学校へむかった。
俺、大戸 和翔は桜清高校の2年である。
桜清はまぁどこにでもあるような学力も中くらいな高校である。まぁソフトボール部はちかが入ってから(実力を認められ入学直後から)負けなしだそうだが。我が妹おそるべし。
「あ、かずくん!おはよう!」
俺は校門の前である女の子にそう呼び止められた。
「おはよ」
そう言った女の子はニコニコと笑顔を俺に向けている。こいつは南未知 萌花。俺の小学校からの幼馴染みだ。ちなみにソフトボール部の部長である。巨乳。
「朝練はどうした?」
「ん?あ、部活か。今日は私はちょっと休み」
「そうなのか」
「ん」
短い返事と共に萌花うなずいた。
「もうすぐ4月も終わりだね」
「そうだな」
確かにもう桜も散って2年になってから1ヶ月たつのか。
「はえぇな」
「年寄りみたいだよ……」
「うるさいな……」
俺はそんなことを話ながら教室にむかう。こいつも同じクラスだ。
でも2年になったからってなにもないなぁ。いや、高校生になってからか。彼女もできないし……。ずっと普通だ。
はぁ……そんなため息がでた。だがその普通は教室に入った所でくずれさった。
俺の後ろの席。そこは誰もいない席だったはずだ。なのにそこにはどこかで見た事のあるような女の子が座っていた。髪は銀髪のショートカット、そして150ちょいくらいの身長。
俺は彼女を見てほぼ無意識に言葉を発していた。
「カエデ?」
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