始まる日常

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 「えっ何、どうしたの?」  俺が急に声を出したので驚いたのか萌花が不思議そうに聞いてきた。  「いや、どうしたってあの席に座ってる奴……」  俺は彼女を指さしながら萌花に誰だよって聞こうとした。しかし、  「座ってる?誰が?」  そんな言葉が返ってきた。いや、だってほらねぇ……いるじゃない女の子が。でもやはり萌花からかえってくるのはいないじゃんと言う言葉と不思議そうな顔だった。  そして萌花は変なかずくん……と言って行ってしまった……。  周りを見渡しても誰も彼女を気にしてる人はいない。いや、まさか見えていないのか?  「は、はは……」  俺がそんな状況に困惑しているとまさかの彼女からこちらにやってきた。ちゃんとした二足歩行で。  「何で私の名前しってるの?」  彼女が初めて話したのはそんなことだった。俺にはいろいろと気になることがあったがとりあえずちょっと怖いので従っておく。(なんか足先のほうすけてんだもん)  あれ、でも俺さっき何でカエデって言ったんだっけ?だめだ、思い出せない。  「いや、なんでだろ。何となくそうだと思っただけで」  「そうなんだ」  「名前、あってるのか?」  「あってる。私は鹿島(かしま) カエデ」  「そ、そうか。よろしく」  俺は少し後ずさりながら挨拶をした。  「あと私、幽霊だから」  「……っ!?」  聞いてもいないのに向こうから言いやがった。しかもわざとか知らないが俺が下がった分だけ近づいてきやがったぞ。  いや勿論少しの怖さもあるのだがそれよりも、可愛い女の子の顔がも、もうすぐそこにあるという事の方が問題だ。  「顔があかいよ。大丈夫?」  「え、えぇっ!あ、うん。大丈夫」  びっくりした。てか幽霊に心配されたんだが。と、そこで周りの視線に気づいた。  完全にやばい人を見る目だった。  そ、そうだったこいつは見えないのか他の奴には。とりあえずみんなには  あはは~ と苦笑いを返しておく。ただ一つ気になったのは少し離れた席にいる、女子の視線だった。なんかものすごく真剣さを帯びたようなものだったからだ。  と、そこでSHRの始まりのチャイムがなり先生が来た。仕方がないので俺は席に着く。その後ろには当たり前といった感じに幽霊も座っていた。
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