鹿島 カエデ

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 「かずく~ん」  授業が始まるまでの朝の教室。俺の腕は気持ちのいい2つの柔らかい物に挟まれていた。萌花の胸である。  俺はあのあと結局カエデと二人で登校してきた。萌花はカエデが見えないからいつもどうり一人で歩いていると思ったのだろうくっついてきたわけだ。いつまでもこいつに何も話さないでいるってもの悪い気がするが、見えないわけだし信じてもらえるかわからない。  なにより俺にも分からないことが多すぎた。  「どしたの変な顔して」  「えっ、そ、そんな顔してたか?」  「うん、してた~渋い顔~」  ま、まじか、顔に出てたのか。余り心配かけたくないし、まだ話せないので俺は萌花に胸の感触のお礼を心でしてから言った。  「なんでもないよ、ほらもうSHR始まるぞ」  萌花は俺の言葉にほんとだ!と驚いて自分の席に帰って行った。座ったと思ったらこっち向いて物凄い笑顔をむけてひらひらと手を振っている。よくあることなので俺はひらひらと返しておいた。  ちなみに萌花がよく、くっついてきたりさっきみたいに手を振ってくるようになったのは高校に入ってからだ。それ以前からよく知っているがそんなことはなかったと思う。余り考えていなかったけどやっぱりそー言うことなんだろうなぁと俺は逃げるのだった。  それから桜清高校はお昼をむかえ俺、カエデ、八千代の3人は屋上前の階段でお昼を食べながら作戦会議をしていた。  なんで、こんなところかって?それは、普通は屋上とかで食べるもんなんだろうけど桜清は屋上立ち入り禁止なんだよ。なんで人が来ない所って言ったらここになった。  「やっぱ幽霊って飯はいらないんだな」  「うん」  三人でいるが正確にはご飯を食べているのは俺と八千代の二人だ。カエデはさっき言っていたとうりご飯を必要としないらしい。幽霊だもんな……。  ただ、目はしっかりと俺の持つ購買で買ったサンドイッチに向けられていた。  「食べたいのか?」  「い、いえ……っ」  明らかに食べたいのだろう。目が怖いぞ……。  「ほい」  俺はカエデに二つ入っていたうちの一つをカエデに渡した。カエデは少し恥ずかしがるようにいいの?と首をかしげてきたのでああと返事をすると、パクッと可愛くかみついた。  食べている姿は可愛い小動物を思わせた。俺がそんなことを考えながら眺めていると横からゲシッと八千代に足を蹴られた。  「何か変なこと考えてたでしょ」  「いえ、いっさいこれっぽっちも」  八千代は納得しないようでずっと鋭い視線を俺に向けていた。  俺はここで一つ眺めてて疑問がうかんだ。  「なぁ、カエデ。お前、物にさわれないんじゃなかったっけ?」  それは今朝のことである。たしかこいつはドアをすり抜けてきた気がしたのだが今はしっかりとサンドイッチをもっている。  「ううん。触りたい物には触れるよ」 と、なんとも簡単な答えがかえってきた。そーいえば普通にインターホンもならしてたしな。  で、やっと本題にはいるわけだが俺達がこんなとこに集まった理由、これからどうするかを話し合うためだ。  「なぁカエデ、ここにいるのには理由があるのか?」  「わかんない」  「じゃあ何か生きていた時の事を覚えていたりしないか?」  「うん!あるよ」  まじか!と俺と八千代はくいついた。それがきっかけで何かわかるかもしれないぞ。何をいったい覚えてんだ!?  「名前!」  「『……。』」  俺達は静かに前にでかかっていた体を元に戻した。そして顔を見合わせそれだけじゃなぁとため息をついたのだった。
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