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いつもの部活終わり、俺は一番最後まで残り練習をし、部室で帰る準備をしていると扉が開く音がして、町田が部室に入ってきた。
町田はいつもの活発な様子とは違い、扉の前で立ち止まり俯いている。
この間の角田の一件もあり、気まずさがあるが堪えきれず沈黙を破った。
「町田さんどうしたの?」
町田は俺が声をかけると、俯いていた顔を少しこちらに向けまた顔を伏せた。
「新くんて好きな人いる?」
昼休みのことを思いだし、鼓動が早くなるのを感じるとともに、なぜか入学式の彼女のことが頭に浮かんだ。
なぜ彼女が……そんなことを考えていると次は町田が沈黙に堪えきれず早口で話した。
「わ、私いつも新くんのこと見てて、いつも一生懸命で練習も最後まで残って……」
そこまで言うと町田は、はっと気づきまた目を伏せた。
「ご、ごめん、気持ち悪かったよね……」涙ぐみ謝る。
「でも、そういう一生懸命なところが好きなの!」
涙をいっぱいに溜めた目が俺の目と数秒間見つめ合った。
部室に差し込む夕陽が町田と俺を、部室を赤く染める。
町田はとてつもなく長く感じた見つめ合いに耐えきれなかったのか部室を飛び出してしまった。
俺は嫌いではなく、むしろ好印象を持っていた町田の告白をなぜ答えられなかったのか分からなかった。
翌日、町田は部活に顔を出さなくなった。
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