好きになりました!

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好きになりました!

ピロン♫ LINEだ。 舞はスマホの画面を見た。 舞〜 乗ったよ〜 今どこ? 体調大丈夫? グループラインで結衣からだ。 うん、めっちゃ元気になった。 ごめんね。 すぐそっちに向かうね。 アトラクションの出口で待ってて。 LINEに返事を入れて舞はみんなの元に戻った。 「舞!こっち!」 翔太が舞に気付いて手を振った。 「具合はどう?」 3人が心配そうに舞に聞いた。 「休憩したら絶好調になったよ。ごめんね。」 よかった、と皆がホッとした。 「大吾が絶叫系平気とか言っといて、乗ったらむっちゃ叫んでさぁ」 からかう結衣によせよ、と(ひじ)でつつく大吾。 翔太と舞はじゃれ合う2人を見て、ニヤリと目配(めくば)せした。 あの2人絶対お互い好きだよね。 どっちか告って付き合えばいいのに。 だいぶ前に舞は翔太に言った事がある。 「まあこういうのは本人たちに任せないとな。舞、余計なことして2人の関係をおかしくすんなよ。」 翔太にそう言われて舞はずっと黙って見守ってきたが、今も大吾と結衣の関係は相変わらずだ。 パレードを観よう、とパラソルの下のベンチに座った4人。 「ずっと座ってたの?」 結衣の質問に待ってました、とばかりに舞がぐふふっ、と変な笑い方をした。 「それがさあ~うふっ。」 笑い出す舞に3人は冷たい視線。 「なんだよキモいぞ。」 大吾が舞の止まらない笑いに引いて言った。 「実は~あのね、スター。」 「スターってここのキャラクターのスターの事?」 翔太が聞いた。 「うん。実はさっきベンチに座って休もうとしたらさあ、、」 舞がさっきの出来事を話そうとしたら結衣が遮った。 「ちょっと!これって舞じゃん!?」 そう言ってスマホをみんなに向けた。 転倒しかけたJKらしき女の子をスターがキャッチ! そんな文章と共に後ろからモネを抱きかかえているスターの写真。 ツイッターに先程の場面がバッチリ掲載されていた。 舞とスターの姿は後ろ姿なので、舞の顔は写っていないが、舞の腰を両手で抱きかかえているのはハッキリ分かる角度。 「何これ!いつの間に!」 結衣がきゃあ!と舞の肩をバシバシ叩いた。 さっき私を囲んだ人たちか誰か、近くにいた人が撮ってたんだ。 舞は思った。 スターをずっと撮っていて、偶然この現場を押さえたんだ。 それにしても、、 改めて第三者の視点でスターにギュッとされているところを見ると、スターのイケメンっぷりにますます舞はキュン!となった。 こうなった経緯をみんなに話すと大吾はははーん、と笑った。 「舞さあ、熱く語る口調が乙女なんだけど。」 「分かる?さっきみんなに言おうとしたんだけどさ。」 舞は一呼吸おいて宣言した。 「私マジでスターにやられちゃった。超好きなんだけど!!」 翔太が呆れた顔で言った。 「着ぐるみだぜ?転びそうになったのを助けてもらっただけで好きになるなんてお前チョロくね?」 「いやもう言っても分かんない!その後の大丈夫?とかのフォローが完全に王子様なんだって!」 舞がムキになる。 「そりゃあ世界のスーパースターだからお前みたいなガキを落とすのなんて簡単だろうな。」 翔太が意地悪く言った。 舞も負けていない。 「そりゃそうよ。あんたたちみたいなそこら辺のオトコにはあんなスマートな対応出来るわけないじゃん。」 まあまあ、と大吾が止めに入ったが 「ん?なんかいつの間にか俺らディスられてないか?」 「まあ大吾に女子の鼻をツンツン、とかは出来そうにないね。」 結衣が笑う。 「とにかく!」 舞が立ち上がった。 「私この後、スターのグッズめっちゃ買うわ。」 なんだそれ、とみんながずっこけた。 ショップでたくさんのスターのグッズを見ながら舞はため息をついた。 「高い。あれもこれも欲しいけどお金ないよー。」 舞は(なげ)きながらもずっと吟味(ぎんみ)している。 舞、スターのにわかファンになっただけだよな。 翔太は舞の横顔を複雑な表情で見ていた。
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