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幼なじみ
22時閉演のパークだが、今日は高校の遠足。
帰るための集合時間はパーク入り口に18時だった。
17時を過ぎた頃、お土産を買いに4人はショップに入った。
翔太と大吾が買い物をする様子がないのに舞は気が付いた。
「家族や友達に何か買わなくていいの?」
夢の国に行っても男はお土産配らないだろ~、と2人は言った。
「そう?でもさあ、家族には買っていったら?」
舞がチョコクランチを手に取り言った。
「そういえば最近は翔太のパパママにも会ってないなあ。パパは単身赴任だっけ。お兄ちゃんなんか何年会ってない?5年?もっとか。」
「へえ、翔太お兄ちゃんいるんだ。」
結衣は初めて聞いたかも、と言った。
「年離れてるんだっけ。確か10歳位上?翔太の家に遊びに行ったときにおかんには会ったけど、翔太の兄貴は居なかったから会ったことないな。」
大吾がそう言うと舞が自慢気に続けた。
「翔太のお兄ちゃん凄いんだよ。ダンスが超上手くって留学した事もあるんだよね。」
舞がふふんと言ったので翔太が笑った。
「なんで舞が自慢そうに話すんだよ。」
「お前の兄ちゃんスゲーじゃん。今は何やってんの?」
大吾が聞くと翔太は答えた。
「んー、ダンサーやってるよ。結構忙しいみたい。」
へえ!と舞と結衣が色々質問しかけたが翔太はそれを遮った。
「ってか時間なくね?レジ混んでるから急がないと。」
確かに、女子は辺りを見回すと慌ててお菓子を選び出した。
バスで一旦高校に戻り、教室でホームルームをしてからの解散だった。
「自宅に着くまでが遠足だぞ。車に気をつけろよ。」
担任の言葉に生徒の一人が突っ込んだ。
「遠足帰りの先生のセリフあるあるだよ。」
クラスの皆が笑った。
「いい1日だったわあ。楽しかった、ね、翔太。」
帰る方向が同じなので舞と翔太は一緒に下校していた。
「まあな。舞の体調も良くなって、あの後結構アトラクション乗れたしな。」
翔太の返事に舞はニコッと笑った。
「うん、午前はまじ心配かけてごめんね。」
「気にすんな。」
「やっぱ、朝イチで甘いものをたくさん急に食べたから具合悪くなったのかなあ。」
そう言った途端、舞はあれっ?と翔太を見た。
「ん?」
翔太も舞を見る。
「何?」
「翔太さあ、全然ポップコーン食べてない!」
翔太が肩から掛けているポップコーンバゲットの中身は確かに全く減っていなかった。
「ミルクティー味食べたいって言ったの翔太なのに。」
舞が首をかしげる。
「あー、何だろ、食べるタイミング逃してたっつうか、食うの忘れてた。」
なんだそれ!と舞が笑う。
「お前、本当いっつも笑ってんな。」
翔太はそう言うとふいに真面目な顔になった。
「舞のお父さん、具合どう?」
舞は急に翔太が話しを変えたのでちょっと戸惑った顔をした。
「ああ、うん、退院してからは普段通り。会社も行ってるし。突然どうしたの?」
「さっき夢の国でお土産選んでるとき、家族の話しになったから、なんとなく。舞のお父さん元気かな、ってさ。」
ふふっ。舞が微笑んだ。
「心配してくれてありがとう。翔太。」
翔太はいつも優しい。舞は三木の顔をチラッと見るとこう思った。
翔太が幼なじみで良かった。
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