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3 悪いやつら
「おい。なんか音がしなかったか」
「お前の声だろう」
動画を撮っていた若者はパチン、パチンと言う音にびびり出した。
「これって」
「も、もしかして、ポルターガイスト?」
しかし彼らは怯まず、撮影を続行させていた。これをみていた真凛はジョーの肩を叩いた。
「ねえ、どうしようか」
「真凛が行け。俺が後だ」
「もう」
そんな真凛は帽子を被り指をパチンと鳴らした。
「……可愛い可愛いネズミちゃん。奴らをここから追い出して」
するとドドドドと音がし、やがて悲鳴に変わって行った。
「でもね。これじゃまた来ちゃうから、とどめをお願い」
「ふう」
そしてジョーはダッシュし、若者が乗り込んだ車のフロントガラスに張り付いた。
ここで悲鳴を聞いた真凛は、コウモリも使い追い返したのだった。
「お疲れ。ジョー」
「まったくだ」
その時、廃墟に住んでいたゴーストが出てきた。
「なにをしてたのよ。しっかりしなさいよ」
するとゴースト達はこの廃墟にまだ悪い奴が来ると話した。
「ここで麻薬の取引をしてるんです」
「俺達どうすることもできなくて」
「手も足も出ないんですよ」
「私に言われてもね……」
しかし。
ゴーストの中に麻薬のせいで亡くなった男がおり、大変後悔していると話した。
「救ってあげたいんですよ」
「はあ。わかったよ」
この願いを叶えないと真凛から離れないわがままゴーストのために彼女は力を貸すことにした。
ゴーストからの情報で犯人がいつ来るのか分かっていた真凛は、いつものように匿名で捜査一課に電話をした。
「もしもし。○月○日△時に、元物流倉庫にて麻薬の取引あり。追って捜査せよ……」
『おい。お前、真凛だろう』
及川の声を気にせず真凛は電話を切った。
「いいのか。及川にはバレているぞ」
「証拠はないし。さ、うちは仕事だよ」
そう言って取引時間に遺品整理の仕事をしていた真凛の元に、ゴーストが飛び込んできた。
「やばいよ真凛さん。刑事がしくじった」
「何ですって」
「しくじったとはどう言うことだ?」
ゴーストの話では犯人を取り逃したと言うことだった。
「どうやら真凛の情報を上司は信じてくれずに及川と今井だけで向かったようだな」
「なにをやっているのよ……」
そう言って彼女は出かける用意をした。
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