日没と霧

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 まだ太陽すら寝ている早朝、私は今日二杯目のホットコーヒーを飲む。未だに動悸が収まらず、思い出すだけでこらえている涙があふれ出る。  このホットコーヒーの湯気のように、あっさりと忘れられたらどれほど楽だろうか。  高校の頃、彼と交わした約束は今もこの胸にある。必ず帰ってくる。その約束を私はないがしろにして、今は遠く離れた場所にいる。  でも帰れない。帰りたくない。私にとってこの約束を果たした先にあるのが、彼との別れになるかもしれないから。できるならずっと、このまま胸にしまい込んで苦しみながらも彼を忘れたくない。  あれからどれだけの月日が経ったのだろう。モノクロの世界は退屈で、時間なんて概念が存在しないかのように覚えていない。  このままでいいわけがない。もしかしたら彼は今も、あの駅で私を待っているかもしれない。数本としかない電車の時間に合わせ、泥シミで汚れた服から着替えて「おかえり」なんて言うためにいるかもしれない。  行こう。ただ私のわがままで彼を縛っていい理由にはならない。別れよう。それが彼と私のためでもある。
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