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『これ、なに?』
『誓約書です。菜月』
『は? なんで、山本と誓約書?』
『先日の、約束……反故にされたくないですから』
いつしか、山本はお嬢様から菜月と呼び捨てするような仲。上下関係というより、幼馴染みに近い関係。彼女は、俺の気持ちにいつか気づいて欲しい。
そう、願って。逃さないように作った。
彼女は、誓約書をじっくりと読み……「これ、私が不利になるでしょ!!」と言いながら、サインした。
誓約書を交わしたのは、彼女はデザイン系の学校に進むのが決まった時。誓約書のひとつひとつ、山本の約束を守れない度に、山本のお願いへ近づく。
彼女に包囲網を敷いていく……あれから、数年。 菜月を一番傷つけた男。友井景。
山本は、あの男は許せなかった。今までで一番……。
プログラミングを改良した。
たぶん、あの男が連絡をとってくるのは予想の範囲内。菜月を傷つける者は許せない。絶対に……。
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