第3話

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第3話

 山本は、ある人物と会っていた。加賀の時、彼の愛しい(ひと)のためにと力を貸した人間。その男は、真佐美(まさみ)を歪んだ愛情で愛していた。加賀とはまた違うカタチで。  現在進行形で進んでいる、その男の愛情に溺れた真佐美は『主人』を愛している。久瀬(くぜ)グループの問題令嬢(れいじょう)は、問題を起こさなくなった。その意味では、真佐美の父、久瀬社長は手放しで喜んだ。    「で、なんです? 連絡はしない約束ですが」  「えぇ、そうです。彼女を手に入れられましたからね。しかし、彼女に、真佐美に横やり入れる男がいましてね」  「ふぅん」  興味がない。そんな男は・・・・・・。菜月に危害がない限り。だが、予想の範囲内。  「友井景(ともいけい)」  「……そういうことですか……まぁ、いいでしょう。あの男には、自分のことを、よぉく分かって貰う頃合いでしたから」  「あなたなら、わかっていただけると思いましたよ」  「同じにしないでください」
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