第2話

1/4
前へ
/87ページ
次へ

第2話

 菜月は会社を立ち上げるため、日々、奮闘していた。デザイン系の学校にも通い、経営も学んだ。必要な知識や人脈など、自分の力で出来る限る作っていった。  年上の兄は、元はいいのに、お洒落(しゃれ)とかまったく関心がないのを……我慢ができず、変えた。  高校に通っていた兄は、少しずつ変化し見た目も気遣うようになった。大学に行った兄は、急にモテるようになったが……本人はあまりモテる事に興味はなかったようだ。    菜月は、坂本グループの娘として生まれたが、お嬢様扱いを嫌った。  「お嬢、今日はどうされたんです?」  「なに?」  「いや……」  「……はぁ……」  小さい頃から、(いか)ついけれども頭が妙に切れる男どもがいる中で育った菜月。当たり前だと思っていたのは、学校で崩れ去る。    「ほら、坂本グループの……」  「ねぇ、あの方……」  お嬢様系の学校でも、遠巻き。「あぁ、ウザい」といつも心の中で言っていた。勉強もぬかりなくしていた菜月は、一目(いちもく)置かれるというより、どんどん距離を置かれていく。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加