pulorogue

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 責任を取れる大人になるまで絶対にしないと決めていた、夜の営み。私達もいい年頃になったけど、バカで高卒フリーターの私は、まだまだ当分先のことだと呑気に構えていた。大学も卒業して就職も決めた、大人になった彼と違って。 「…いいんだよな?」 「…うん。」  私達はおずおずと身に纏っている物を外し、最初で最後のありのままの姿を晒す。私としたいという、彼の最後のお願いを受け入れたのに、体はいつになく強ばってしまう。  彼の引き締まった体付きをぼんやりと眺めていると、取り分けその逞しさを主張してくる箇所に目が釘付けになる。本能からか、私は自然と右手で自分の大事な所を咄嗟に隠してしまう。荒い呼吸音しか出さない彼の目は、私のもう一つの恥ずかしい場所に視線を移し、その瞳にあまり自信がない膨らみが一杯に写し出される。これもすかさず左腕で覆い隠してしまう。  彼はゆっくりと近付いてきて、その大きい手で私の両手首を掴む。子犬の様に弱々しく震えるモザイクを、彼は優しく、だけど私が戻せない様に力強く引き剥がしていく。彼も私も抑えることができない、恥ずかしさか、恐怖か、それとも期待からなのかよく分からない震えを、繋がれた手で共有し合う。武者震いにも似たその震える身体で、わなわなと震える口で彼が一言放つ。 「いくよ。」
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